お知らせ

ホーム > お知らせ > さんぴん茶は、緑茶?それとも烏龍茶?

2026.02.25

さんぴん茶は、緑茶?それとも烏龍茶?
沖縄でお茶といえば「さんぴん茶」。

透明な黄金色の水色と、ふわりと漂うジャスミンの香りは、沖縄の食卓に欠かせない存在です。

 

 

でも、ふと気になったことはありませんか?

「さんぴん茶って、ジャスミン茶と同じもの?」

「ベースは緑茶なの、烏龍茶なの?」と。

 

 

実はこの問いを辿っていくと、福建省から琉球へ、

そして現代の台湾茶文化へとつながる、深くて豊かな歴史の流れが見えてきます。

 

今回は、さんぴん茶のルーツをじっくりと探ってみましょう。

 

 

ジャスミン茶のふるさとは、福建省・福州

 

さんぴん茶の正体は、ジャスミン花茶です。

そしてジャスミン茶の発祥は、中国・福建省の省都である福州周辺にあるとされています。

 

福建省は古くから良質な茶葉の産地として知られ、独自の茶文化を育んできた土地です。

 

温暖で湿潤な気候はジャスミンの栽培にも適しており、

茶葉とジャスミンを合わせる「花茶」の文化がここで発展しました。

 

福州のジャスミン花茶は、やがて中国各地へ、

そして海を越えて周辺地域へと広がっていきます。

 

琉球へ渡ったお茶、「香片茶」という名前

 

さんぴん茶という名前は、中国語の「香片茶(シャンピェンチャー)」が

琉球に伝わったことに由来するといわれています。

 

「香片」とは「香りのある花びら」を意味し、

花の香りを移したお茶そのものを指す言葉です。

 

この「シャンピェン」という発音が、琉球の言葉の中で

「さんぴん」へと変化したと考えられています。

 

 

伝来の背景にあるのは、琉球王国時代の活発な東アジア交易です。

 

15〜16世紀、琉球は中国(明・清)や日本、東南アジアと結びつく

海上交易の要として栄えていました。

 

福建省との交流も深く、その往来の中でジャスミン花茶が琉球の地へと

持ち込まれたのでしょう。

 

やがてそれは王府の文化から庶民の暮らしへと溶け込み、

沖縄の日常のお茶として根付いていきました。

 

 

なぜ沖縄では「烏龍茶ベース」が主流なのか

 

ジャスミン茶のベースとなる茶葉は、

中国本土では緑茶ベースが一般的です。

 

すっきりとした飲み口で、淡い香りが繊細に楽しめます。

 

一方、沖縄で親しまれてきたさんぴん茶は、

烏龍茶をベースにしたものが主流とされています。

 

 

烏龍茶ベースの花茶は、半発酵茶特有のまろやかな甘みと深みがあり、

ジャスミンの香りとよく調和します。沖縄の食文化や気候、

そして好みに合う形として定着していったのかもしれません。

 

 

緑茶ベースと烏龍茶ベースを飲み比べてみると、

同じジャスミンの香りでも印象がずいぶん異なります。

 

緑茶ベースは軽やかで爽快、烏龍茶ベースはふくよかで落ち着いた風合い。

どちらも花茶の魅力を持ちながら、それぞれに異なる個性を持っています。

 


「花を混ぜる」のではなく「香りを移す」技法

 

花茶について、よく誤解されることがあります。

「ジャスミンの花を茶葉に混ぜている」と思われがちですが、

伝統的な製法は少し異なります。

 

 

正確には、新鮮なジャスミンの花を茶葉に重ねて置き、

香りを吸わせる「窨花(いんか)」という技法が用いられます。

 

茶葉は吸湿性が高いため、そばに花を置くだけで香りをしっかりと取り込みます。

 

この工程を何度か繰り返し、十分に香りが移ったら花を取り除いて仕上げる――。

 

完成した花茶に花びらが入っているとすれば、

それは見た目のためであることが多く、香りそのものは茶葉に宿っています。

 

香りを「移す」という静かな技術の中に、東アジアの茶文化の美意識が宿っています。

 


福建と台湾、そして花茶文化のつながり

 

台湾茶に親しんでいる方なら、福建省という名前に聞き覚えがあるかもしれません。

そう、台湾の茶文化は福建省と深いつながりを持っています。

 

台湾へ渡った多くの移民は福建省、

とりわけ泉州・漳州・福州といった地域の出身でした。

 

彼らは故郷の茶の文化をそのまま台湾に持ち込み、

やがて台湾独自の烏龍茶文化へと発展させていきました。

 

 

凍頂烏龍や東方美人、そして文山包種茶といった台湾を代表する茶葉の多くは、

こうした福建由来の製茶技術を土台としています。

 

 

台湾における花茶文化も、この流れの延長にあります。

 

包種茶のような清らかな花香を持つ茶葉は、

花茶の概念と地続きの美意識を持っており、

 

茶葉そのものに花香を宿らせる方向性は、台湾茶の品質追求とも重なっています。

 

 

さんぴん茶のベースとなった花茶文化と、台湾茶の文化は、

同じ福建という土地から枝分かれした、ふたつの流れといえるかもしれません。

 


さんぴん茶は、東アジアをつなぐお茶

 

沖縄の。歴史を辿れば、福建省のジャスミン花茶文化、琉球王国時代の交易、

 

そして台湾茶の源流とも重なる、

東アジアの茶文化の大きなうねりの中にあることがわかります。

 

台湾茶の専門店として、私たちはこうした茶文化の流れを大切にしながら

 

お茶の奥深さをお届けしていきたいと思っています。

ぜひ一度、花茶の世界も覗いてみてください。

 

茶葉に香りを移すという静かな技術の中に、

東アジアの茶文化の美意識が宿っています。